史跡復元と観光のソフト面

 久しぶりに東北大の圓山先生のお名前を見つけまして。

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 ■ 全国の城址を巡ってつくづく思うのは、現代的街づくりとの調和の難しさ。近世城郭って内戦のための軍事拠点なわけで、仙台城は政宗でさえ「天下太平の時代にこんな城はいらん」と言っているモノ。一部が大学のキャンパスになって地下鉄も通った現代の街にそもそもマッチするはずがない。

 
 ■ ところが話がこと近世城郭の復元になると、文化庁とか大学教授とか市長とか歴史ファンとか、文化財保護法建築基準法だ耐震だサステイナブルだと色々出てきて、市民そっちのけで話がちっともまとまらない。
 

 

 ■ 元仙台人としては、牛タンと笹かま以外の、市のシンボルを作りたい思いはわかる。作るからには、史実に基づいた工法による建築費、続く改修、迂回路のコストも含めて、50年、100年、街としてそれを引き受けるスピリットがなければいけない。どこかの街がやろうとしている運動大会でいう「レガシー」だ。
 
 ■ 上記の街づくりについてはプロではないのでオチはないが、一歴史ファンとしては、「各街は本当にソフト面で出来ることをやりきっているのか?」という疑問は投げかけたい。ソフト面でもう出来ることがなくて箱物を作るというなら良いが、現状の箱を最大限使えているのか?
 
 ■ タイムトラベルは出来ないので、史跡観光客は「想いを馳せる」「妄想」するしかない。ところが史跡観光では、ある程度の知識がないと満足感を得られる妄想はできず、ただ「古いね、大きいね」で終わってしまう。しかし知識取得や妄想を手助けできるソフトが用意されていることは少ない。別に VR や iPhone アプリや歴史ガイドでなくても良い。看板1つ、パンフレット1枚で良い。
 
 ■ 城をいくつも回っていれば、左右の石垣を見て「こっちは野面積み、こっちは打込ハギ、だからこっちが古い」とわかるし、天守閣に登れば「あの道路のところが外堀だったんだな」とブラタモリばりの見方ができるようになる。ところが門のところに「セコム」のシールが貼ってあるとか、ガイドが「あそこに見えるのが市内で一番高いビルでーす」みたいな、知識も妄想もへったくれもない、残念な史跡の見せ方が少なくない。
 
 ■ 夢を見せてくれる、ソフト面も含めた史跡の整備を求む。